展示会の目標、項目はどう決める?

目標は達成可能であることが大切です。現実的であるほど、具体的なアクションを決めることができます。では目標とはどのような項目で、数値はどのように決めていくのか。指標や数値の定め方を考えます。

展示会の目標、指標

目標は、出展の目的を達成するための中継点と考えます。目的が「テストマーケティング」なら、名刺獲得枚数「〇枚」、現地テスター数「〇人」、現地アンケート回答数「〇人」、出展後のサンプル発送+アンケート回答数「〇人」など。具体的な数値を設定しましょう。具体的な数値目標は、今後の出展計画の基準値になるだけでなく、出展後の成果や効果を振り返り、次の出展につながる際の指標になります。

出展では主に以下のようなものが指標となりますが、すべて活用する必要はありません。目的に合わせて選択していきましょう。

会期中の目標

  • ばらまき用資料の配布数
  • 商談説明用資料の配布件数
  • 名刺獲得数(全体)
  • 名刺獲得数(ターゲット層)
  • 新規見込み顧客の発掘件数
  • 既存顧客との面談件数
  • 商談件数
  • 見積り依頼数
  • 成約数と取引額
  • モニター・アンケート調査件数
  • サンプル商品配布件数
  • 競争相手など他ブース視察件数

会期前〜会期後の目標

  • 展示品のWEBページへのアクセス数
  • 展示品への問い合わせ件数
  • 打ち合わせ確約件数
  • 商談件数
  • 見積り依頼数
  • メディアに取り上げられた数
  • SNSでの自社ブース拡散件数※

数値はどう決める?プロセスと成功の割合を考える

自社の目的に適切な項目を選んだら、数値を設定します。例えば「有力顧客の発掘件数●件」「名刺獲得数●枚」などです。ではその数値はどのように導き出せば良いのでしょうか。

初めて出展する企業

一定期間の営業プロセスの成功割合などを参考にしましょう。具体的には、「名刺交換→個別訪問につながった割合」「商談→成約につながった割合」など、顧客育成(ナーチャリング)と呼ばれる、成約/取引額の増加までに経たプロセスの成功率です。

出展した経験がある企業

前回の結果を基準を起点に考えることができます。単純に「前回結果+α」という考え方もありますが、ここでは一つの算出方法のひとつを挙げます。出展時に起こる各アクションへの成功率から考えます。例えばプロセスを

①ばらまき用の資料配布→→②説明エリアへの誘導→→③名刺交換→→④商談→→⑤成約

としましょう。そして前回それぞれのアクションが次のアクションへつながった成功の割合を以下の方法で算出していきます。

・配布資料配布数(受け取った人数)÷ばらまき用資料制作数

・説明エリアまで来てくれた人数÷配布資料を受け取った人数

・名刺獲得数÷説明エリアまで来てくれた人数

・商談数÷名刺獲得数

・成約数÷商談数

各アクションの成功割合が出たら、出展の最終目標から逆算して、各アクションの細かい目標数を割り出します。

例)とある出展者(A社)が出展の目標額を2,000万円と定めました。機械1台の成約額は300万円です。2,000(目標額)÷300(1件あたりの成約額)から、今年は最低7件の受注ができれば目標額を達成できます。

前回の出展では、資料配布成功率が50%で、そのうちブースの説明エリアまで来てくれた人が70%、そこから名刺交換に応じてくれたは90%、座って話を聞いたり、商談まで至った人が30%、そして成約につながったのは10%でした。

ここでは

①今年も成功率は同じくらいと考え、各アクションの目標数を増やす考え方

②次のアクションへの成功率を上げる

の2つの考え方を挙げます。

①の場合、各アクションの目標数値は最終目標から逆算して考えます。成約の割合は10%ですので、7人÷0.1(成功率)で「70人と商談する」という一つの指標が出ます。さらに70人と商談するには70÷0.3から233人と名刺交換する必要があります。このように逆算していくとA社はブース来場人数:258人(233÷0.9)、資料配布数:516枚(258÷0.5)を目標にすれば良いことがわかりました。

②の場合は、「ブース来場率がよくないから無料セミナーで誘致しよう」「成約率を伸ばすために事前に営業担当の人材スキルの底上げを図ろう」など、ブースの企画や運営方針、アテンド体制を変えていくことになります。

そこから①や②の考えを掛け合わせたり、企業独自の指標と数値を設けたり、上記の考えから協議を重ね、目的に合わせて調整していきます。目標決定は出展チームの参加意識向上のため、トップマネジメントの指揮の下、チームメンバーで議論しましょう。また定量的な目標以外にも、テスターの反応やアテンドスタッフが感じたこと、来場者から気になった一言など、新たな視点や改善策の発見に役立つ重要な情報を得られたかどうか、といった定性的な評価も考慮できます。

出展の効果を高めるためには、一度だけの出展と考えず、成功率や感触を把握し、必要な改善策を継続的に行っていくことが重要です。

達成しやすい目標共有の考え方

目標設定の基本的な考え方の一つにSMARTというものがあります。目標を共有するうえで、「ここを押さえておくと達成しやすい、良い目標になる」という5つのポイントの頭文字をとった言葉です。

❶Specific(具体的であること)

誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す

❷Measurable(測定可能な数値であること)

目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す

❸Achievable(達成可能であること)

希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する

❹Related(関連性があること)

目標が事業や経営の目標に関連する内容かどうかを確認する

❺Time-bound(期限を設けること)

いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

以上です。目標設定は目的に近づくためのステップです。現実と乖離しすぎていない数値にしなければ、実現が遠のいてしまいます。

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