ノベルティの役割と配り方

展示会の出展をサポートしてくれるツールのひとつに、「ノベルティ」があります。展示会へ足を運ぶと、メモやボールペン、バッグからお菓子やモバイルバッテリーまで、さまざまなものを各ブースで配布しているのがわかります。展示会におけるノベルティの基本的な役割と効果的な使い方を紹介します。

ノベルティの種類

定番はボールペンなどの筆記具、付箋やメモ帳、クリップ、マグネットなどの事務用品です。また、不織布のバッグやキャンバス地のトートバッグも根強い人気があります。ノベルティは、街頭で配られているポケットティッシュやうちわ、フリーペーパーと同じように、企業名・ブランド名・商品名、宣伝文句などさまざまな告知を入れた広告物として販売促進のために利用されます。

季節によって暑さや寒さが厳しくなる展示会場では、扇子やカイロなどは来場者が受け取りやすく、かつ印刷面が広く、ロゴや社名を目立たせられる特徴から人気となっています。リレーアタック防止のキーケースや、米などもインパクトを残すノベルティとして使われているケースもあります。スマートフォンを置いて充電ができるワイヤレスチャージャー、小さなケースに入っていて持ち運びに便利なレインポンチョ、水をすぐに吸収する珪藻土のコースター、金塊を模した箱に入ったブランケットなど、近年は個性的な商材が数多く登場しています。

ノベルティの役割

ノベルティの役割は、大きく分けて2つ「ブランディング・認知度向上」と「来場者との会話のきっかけを作る」ことにあります。

ブランディング目的のノベルティなら、出展者の企業イメージと出展コンセプト、ノベルティとの一貫性を持たせることが大切です。映像やブース全体のデザイン、パンフレットなど各ツールとノベルティのデザインをすり合わせながら展示会出展の戦略としてだけではなく、長期的なブランディング・営業戦略にも組み込んでいきましょう。「リマインド効果」も期待できるため、出展者や出展製品を思い出すようなノベルティなら、展示会後の営業活動をサポートしてくれる可能性もあります。

来場者との会話のきっかけを作りたいのであれば、補足説明が必要なツールや、小さな笑いを誘うポイントなどがあると良いでしょう。来場者からのリアクションを期待するのであれば目新しいもの、珍しいもの、新しく考案されたものなど、「新奇性」が問われます。

配布対象は特定or不特定?配布スタイルを考える

ノベルティの配布は、大きく分けて2種類のスタイルがあります。ブースに訪れた人や名刺交換をした人、アンケートに答えてくれた人などに渡す「不特定多数の展示会来場者に配布するもの」と、商談が成立した相手や既存の顧客、営業先企業の決定権者に「ブース来訪のお礼として渡すもの」です。

不特定多数の人に配布する

商談の成約率を上げるためには、自社に興味を持ってくれる人の母数を増やす必要があります。ノベルティは、ブースの前を素通りしてしまいがちな来場者をキャッチできるという特徴があり、この点で大きな力を発揮します。ノベルティがユニークだったり、「ちょっとほしい」と思わせるものは、来場者の足を止めることができます。展示会場では人が人を呼ぶ特性があり、来場者の好奇心を刺激し、ブースに人を集めて賑わいを作り出すことで、ブースに入ろうかどうか悩んでいる人の背中を押す効果が期待できます。

全く関係ないノベルティであっても、来場者との会話のきっかけとして機能することがあります。来場者に渡して反応があると、そこから会話が弾み商談へ進むケースも少なくありません。話のきっかけを作り、ユーザーに心を開いてもらうことは商談の中でとても大事なポイントで、ノベルティがこの役割を果たしてくれることもあるのです。慣れていない新人のスタッフの声掛けであっても、ノベルティを配ることで通りがかる人に声をかけ、効率よく来場者をキャッチできます。配っているものを通して来場者と会話もでき、スタッフの接客レベルを問わずに集客が可能になることも大きなメリットです。

展示会でアンケートを集めたいときも、ノベルティをうまく利用しましょう。より多くのアンケートを集めることを目標に設定したときは、少し値段の高いもの選ぶことはもちろん、企画・発想力が求められます。自分が展示会を歩いているとき、どんなものなら「欲しい!」と感じるか、足を止めてアンケートに答えてノベルティをもらおうとするかを考えながら、来場者目線に立ってノベルティを検討しましょう。

商談のお礼として渡すノベルティ

商談を深めたい相手や企業の決裁権者に、展示会で自社ブースに足を運んでもらうことは重要な商機となります。商談成約の記念や、ブースに訪問したとき特別にプレゼントとして渡されるものは、高いものでなかったとしても、心に残ります。しっかりと設えの良いケースに入れ、上品に社名を印字するなど、高級感を演出することも可能です。展示会終了後にどれだけ相手の記憶に残っているかは、後の営業活動に大きく影響します。今後の営業計画も考えながら、お礼として渡すノベルティの強みを生かしましょう。よく見かけるペンやメモ帳であっても、箔押しでロゴの印刷をしたり、色違いを数種類用意したりすることによってオリジナリティを出し、他社と差を付けることができます。さらに、色違いの中から相手に好きな色を選んでもらうことで「選んだ」という体験が相手の記憶に残り、覚えてもらいやすいという効果も期待できます。これらのポイントは配布するノベルティにも応用できるでしょう。

テストマーケティングとして試供品を配布する

新製品の試供品をノベルティとして配布するケースもあります。仕事場や家庭に持ち帰ってもらい、実際に使ってもらうことは、マーケティングの上でも重要といえます。展示会に足を運び、まだ誰も持っていないものをいち早く手に入れた来場者は、あらゆる方法で口コミを発信し、商品の名前を広げてくれる広告塔になり得るのです。しかし利用価値が低い、または価値がないと判断された場合には悪い評判が広がり、大きく商材の評価を落としてしまいます。情報をあらゆる形で得ること、また発信することが簡単にできるようになった現在、成功した場合は莫大な宣伝効果が期待できますが、その分リスクが高いことを把握しておきましょう。良い点は口コミで広げてもらい、悪い点と課題は企業にフィードバックしてもらう仕組みづくりが必要です。

ノベルティはひとつのメディア

メディアは、言葉やマスメディア、広告、ファッション、音楽、絵画などのように情報や知識を伝達し意思や感情を伝えるものです。そして、人々に行動を促すものでもあります。ノベルティも企業名やブランド名、企業イメージを伝えるメディアとしてとらえることができます。特に資料を入れるバッグは、来場者に持ち歩いてもらうことで企業の宣伝用ツールとして使用されています。まさにノベルティとして配られたバッグが、メディアとして機能している例です。ノベルティの役割と長所をしっかりと理解すれば出展目標の達成と、より大きな課題の解決を助けてくれる、頼もしいツールとなるでしょう。

来場者目線の役立つ小冊子を配布する企業も

ノベルティ以外にも、情報提供型の小冊子を配布する出展者もあります。

情報提供型の小冊子には、

❶見込み度の高い来場者と出会うことができる

❷余計なコストがかからない

❸展示会以外でもWEBの無料プレゼントとして有効的に使える

といった3つのメリットがあります。情報提供型の冊子を作っておけば、ホワイトペーパーとして利用することもできるので、WEBのアクセス集客にも貢献します。特に重要なのは❶の「見込み度の高い来場者と出会うことができる」という点です。例えば「○○の解決方法を教えます」といったタイトルで、見込み客が抱えている悩みに役立つ情報を盛り込んだ冊子を作った場合、同じ課題を抱える来場者は、自然とブースの中に入って情報を得ようとするでしょう。この心理を利用してブースへ誘導し、注意を引いて「○○に役立つ小冊子をお配りしています」と興味をもつキーワードを出します。ここでは自社の名前や商品を伝えずに、あくまで小冊子が解決する悩みに寄り添った言葉で引き止めましょう。受け取るか受け取らないかで、出展者は見込み客かそうでないかを判断できます。

出展者側のポイントとしては、歩きながら行うことが重要です。立ち止まった状態で「●●配っています」などと声をかけているブースが多くありますが、来場者がわざわざ戻ってくることを期待するよりも、通行者と平行して歩きながら小冊子を見せ、最終的にブースを見てもらえるように促すほうがスムーズです。一連の流れのなかで来場者は出展者ブースに入るかの判断ができ、企業側は見込み客だけをブースへ引き入れることができるため、無駄のないマッチングが実現するというわけです。

※通路にはみ出しての呼び込みなど、過度な営業行為は禁止されています。配布時は自社のブースから出ないようにしてください。来場者の通行を妨げたり、近隣の出展者の迷惑にならないように注意しましょう。

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