【サクラインターナショナルに聞く海外展】展示会ブースのエコフレンドリーな未来

本記事は2023年10月15日発行の『見本市展示会通信』908号で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。掲載されている内容や出演者の所属企業名、肩書等は取材当時のものです。

サクラインターナショナル 代表取締役 妙代 金幸 氏
Q
展示会ブースのサステナビリティについての見解を教えてください
A

当社は木工造作ではなく、創業からオクタノルムなどに代表されるモジュラー・システムで展示会業界に参入した経緯があります。2003年9月に商標登録した「SRDS2(サクラ・リユーザブル・ディスプレイ・システム)」は、一度使用した展示ブースのディスプレイ什器や資材を専用倉庫で保管し、再使用できる状態に綿密なメンテナンスを施した後、必要なときにいつでも再使用できる“システム”です。繰り返し使用していただくため、2回目以降の作業時間やコストを軽減させることができます。資材を再使用することで、限りある資源を有効活用できますし、展示会場での廃棄物を最小限に抑えることが可能です。これは人と地球に優しく、SDGsの実践例といえるでしょう。しかしながら、当時はSDGsという言葉はありませんでしたし、出展者に対してもコスト面のメリットを謳ったほうが反応が良かったのです。現在は環境配慮への意識が高まったことで、SRDS2の持つ本来のコンセプトが理解してもらえていると認識しています。

Q
繰り返し使用することの利点は何ですか
A

ヨーロッパやアメリカでは同じブースデザインを使い続けることは一般的で、比較的、日本は毎回変化を求められやすい。これは展示会を担当する部署が異なることによる考え方の違いが大きいでしょう。欧米では一般的に、マーケティング部が展示会の専門担当となる場合が多いです。その人たちとブランディングを決め、デザインを統一します。日本の場合は、宣伝のために出展するケースが多いため、デザインを変えることで新しさをPRしがちです。目新しさこそあっても効果的な出展とは言えません。ブランドイメージはそう頻繁に変わるものではありませんから。

SRDS2は再使用により再現性が高く、常に展示会ブース内でのコーポレートイメージを統一化できます。ある出展企業には実際に30回程、部材がボロボロになるまで使用してもらったことがあります。

Q
これから海外に出展する上でのポイントを教えてください
A

ジャーナリスト・評論家の竹村健一氏はかつて「日本の常識は世界の非常識」という言葉を残しましたが、それは展示会においても当てはまります。日本では会場内の基礎装飾も非常に丁寧ですが、海外も同様であると考えてはいけません。「現地の会社がきっとやってくれているだろう」と考えず、必ず自身の目で確認してチェックすることが大事です。今ではほとんどないと思いたいですが昔、こちらからブースの図面とパース図を送ると、現地の大工さんがパースのみを見て施工されたということがありました。見た目はそれっぽくても、寸法が全く違う。予測しきれない事態にも備える必要があります。

昔は私自身ほとんど海外におり、日本の桜と紅葉を見ることができなかった20年間を今でも思い出しますが、今では世界中に協力会社が増えたことで安心して任せられます。また現在はラスベガスやボストン(開設予定)、上海、ドバイなどに当社の拠点があります。

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