東京・江東区青海に誕生する「トヨタアリーナ東京」が8月28日、開業を前にメディア向け内覧会を実施し、施設の概要と運用方針を明らかにした。会場は旧「メガウェブ」跡地で、スポーツ・音楽・モビリティの発信拠点として再整備された。



はじめにあいさつしたトヨタアルバルク東京の林邦彦社長は「着任して以降、チームと施設の一体経営はクラブの価値を高める上で絶対に必須だという強い思いを持っていた。建設当初から、プランニングにおいてアルバルク東京が主体的な立ち位置を持ち、将来の運営を見据えた工夫を取り入れた」と競技と施設を一体でマネジメントする体制について説明。建設はトヨタ不動産、運営管理はトヨタアルバルク東京が担う民設民営のプロジェクトで、クラブ運営部門とアリーナ運営部門を同社内に併設する。
アリーナの客席配置は楕円形(オーバル型)を採用し、どの席からもコートを正対できるつくりで、バスケットボールは約1万人、コンサートでは約8000人を収容する。最上段の席とコートとの距離は、これまでアルバルク東京のホームとして活用していた代々木第一体育館の最上段の席よりも一層分近づけ、臨場感の向上を図っている。

演出面では、LEDを三層連ねた構造のセンタービジョンと、国内のBリーグアリーナでは初となる二層の「リボンビジョン」を設置。上のリボンビジョンは縦幅2mと大型仕様で、内覧会では原寸大の車両が入るとして、自動車を走らせたり、アルバルク東京のマスコット「ルーク」が歩くアニメーションのデモを見せた。



施設の開業は10月3日。こけら落としはトヨタアリーナ東京をホームとするBリーグ・アルバルク東京と昨シーズンの王者・宇都宮ブレックスの開幕戦。競技以外では翌週にOfficial髭男dismのコンサートを予定する。また2026-27シーズンからはサンロッカーズ渋谷もホームアリーナとして利用する。

施設の説明を行ったアリーナプランニング部の林洋輔部長によると、競技以外での利用も想定されており、ダンスプロリーグ「D.LEAGUE」の開催、企業イベントや表彰式典などの誘致も進んでいるという。林氏は「想定を上回る問い合わせが続いている。年内は設備点検日を除きほぼ100%稼働。しっかり運用していかなければならない」と意気込みを語った。
"開かれたアリーナ"を掲げており、メインゲートとアリーナ間に壁をあえて作らず、入り口から入ると目の前に音とビジョンが広がる。
林社長は施設について「スポーツ、バスケットが好きな人だけがターゲットではない。試合中の2時間ずっと座っているのではなく、回遊しながら観戦できる場にした」と観戦体験へのこだわりを強調する。施設内にはチケットがあれば誰でも入れる「SMBC スカイラウンジ」や、立ち見観戦を想定したバーカウンターを配置し、決定的瞬間に視線をコートへ戻す“ながら観戦”にも対応する。またファミリー向けに、観戦席とプレイルームを隣接させた「ファミリールーム」を設置し、子ども連れでも最後まで試合を楽しめる環境を整えた。



ホスピタリティはスイートやテーマ性のあるラウンジを複数展開する。「テラススイート」は、個室とテラス型観戦空間を組み合わせ、コートまで約18メートルの近さを売りにする。選手動線に隣接した「プレイヤーズラウンジ」では、ガラス越しに選手の出入りを間近に感じられる設計。また「トヨタ プレミアムラウンジ」ではモニタ中継を観戦しながらライブキッチンの食を体験できる。館内にはキーニ氏の大壁画「JAM」などアート作品も点在し、文化的コンテンツの鑑賞導線も意識した。



屋外には「アディダス スポーツパーク」を併設し、マスコット・ルークのモニュメントやフリースローイベントに使えるゴールを4基配置。イベント利用可能な「レンタルのニッケン ジョイントパーク」では、キッチンカーやミニステージによる賑わい創出を想定する。パークは非開催日には地域へ開放する方針。


そのほか施設内のサブアリーナ(バスケットコート1面)は、競技利用に加えコンサート時の物販拠点として活用する予定。
トヨタならではの取組みとして、モビリティにも注力する。e-PaletteやC+walkといった車両の物販・移動への活用、館内展示や周辺施設を結ぶモビリティサービスの導入を段階的に進める。
サステナビリティ面では国内アリーナで初の「LEED」認証取得を目指し、再生可能エネルギー100%利用、屋根部の太陽光発電(消費電力の約5%を賄う見込み)、ごみの全量リサイクルなどを運用に組み込む。
