――無線機やインカム、トランシーバーの販売・レンタル業を営むエクセリの今年の方針は
2024年3月にTOKYO PRO Market市場に上場しましたが、次の目標としてグロース市場へのステップアップを目指し、成長戦略を練っています。
当社の今年の重点は「AIX(AIトランスフォーメーション)」です。これまでもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して業務の効率化を進めてきましたが、さらにAIを取り入れ、業務の発展や付加価値の向上を図りたいと考えています。
AIは主に2つの方向で活用を考えています。第一に社内業務の効率化です。決算短信の作成やシステム内の見込み価格の予測など、社内業務の自動化と高度化を進めていきます。
第二に、製品やサービスにおける付加価値の向上。私たちは業務用無線機の販売とレンタルを事業の柱としていますが、これにIoTやAIの要素を組み合わせることで、お客様の生産性を向上させる提案をしていきます。
――事業戦略をお聞かせください
私たちの事業領域はビジネス現場でのボイスコミュニケーションの提供です。新しい分野に挑戦するというより、この事業領域の中でさらに拡大を図り、付加価値を高めていくことを目指します。
特に「業務用無線プラスIoT」を軸にした取組みを進めていきたいと考えています。業務用無線とは従来型の無線機だけを指すわけではありません。LTEを活用したIP無線機や通信衛星を使ったサテライト無線機、さらにスマートフォン向けの無線アプリといったさまざまなタイプがあります。IoTを組み合わせることで、お客様の生産性がさらに上がり、業務もスムーズになると考えています。例えば、無線機で話しかけるとIoT機器が反応し、それがさらにAIの分析を経て結果を提供する。そのような一気通貫の流れが実現できると考えています。
――具体的には
無線機がIoT機器やAIと連携し、現場での即時対応を可能にする仕組みがあります。つまりショッピングセンターでカメラが購買可能性の高い顧客を特定し、無線機でスタッフに通知するといったことが可能なのです。
――社内の体制や社員育成についての考えは
社内DXをできる限り進めていくことが重要です。世の中の流れと同じように、データで処理できる部分はデジタル化し、効率を高めていきたいですね。
教育については、通常の研修を実施するだけでなく、実際の業務やお客様のニーズを通じて学ぶ機会を重視しています。IoT関連のビジネスが増えてきている中で、営業担当が現場で直接学び、メーカーの協力を得ながらOJTでスキルを身につける形が理想だと思っています。座学だけでは限界がありますから。
また、他社とのコラボレーションもさらに増やしていきたいです。これまでも企業との提携を行ってきましたが、例えばカメラメーカーなどとの関係をより強化することで、社内外での価値をさらに高めていけると考えています。