【2025年、経営者の視点】現場力を支える職人ネットワーク[サンセーコー・佐藤 篤 氏]

サンセーコー 代表取締役社長 佐藤 篤 氏

レギュラーメンバーが約30人いて、社員や専属の職人が毎日稼働してくれています。繁忙期にはスポットで声をかけ、多いときは70人ほどの体制で回す現場もあります。

コロナ禍で展示会が止まった際に多くの職人が離れました。一部は戻ってきましたが、まだ絶対数は足りない。しかしながらニーズはむしろ増えており、追いつかない状況です。展示会は繁閑の差が激しく、年中安定して働きたい人には向きづらい面もあります。ですので、当社の場合は展示会だけではなく、商業施設や住宅など、さまざまな仕事を手掛けるようにしています。モチベーション維持という意味でも、職人の仕事量を安定させることを重視しています。

展示会はどうしても設営タイミングが集中しやすいですが、工場で事前準備を進めておくことで現場での施工時間を短縮しています。職人の負担も減らしながら、なんとか人手不足をカバーしています。

糊の濃度ひとつとっても、季節や湿度で調整が変わりますし、壁紙を右から貼るか左から貼るかも実際は現場の状況次第。職人技はなかなかマニュアル化しづらいのです。とはいえ、何の指標もないのは困るので、本当は「1年目はここまでできる、2年目はここまで」とステップを設けて評価するのが理想です。そうすれば賃金のアップとも連動できますし、職人自身もどこまで成長すれば良いかが分かりやすい。マニュアル化は、今後取り組んでいきたいことのひとつです。

一人前の職人として伸びる人には共通点があります。それは「現場を束ねる」役割を経験すること。どうすれば効率的か、どこをどのように仕上げればきれいに見えるか。現場全体をマネジメントする視点で考えるようになると一気にスキルが上がります。成功すれば自信になりますし、失敗しても次に生かせる。言われた作業だけやっていると成長に限界がありますが、頭を任されると急成長するんですよね。

やはり自分で会社をつくりたいという方はいます。もちろん痛手ではありますが、ときには外注パートナーとして手伝ってもらえる関係になれるので、一概にマイナスではありません。前向きな人は応援しますよ。

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