宮城県でディスプレイ業を営むオオウチ工芸は持続可能な経営に注力している。大内信志社長に持続可能な経営と組織文化の形成についての考え方やSDGsの取組みについて聞いた。
社長就任後に着手したこと
オオウチ工芸
大内 信志 社長
1966年に創業した当社の現在の主な業務は、サイン工事や展示会・イベント、内装工事です。私が8年前に二代目の社長に就任した際、まず取り組んだのは労働条件や就業規則の見直しでした。当時の就業規則は今の時代に合った内容であるとはいえず、より従業員目線の内容にすることを意識し、役員・社員と何度も話し合いを重ね、2年かけて作り直しを行いました。
社員が働きやすい環境を作ることは大切です。その一方で、ぬるま湯のような環境になってしまっては良い仕事はできません。前社長(現会長)は真面目で熱い人間だったこともあり、私を含め社内の人間はそのスピリットを引き継いでいます。売上などの数字はもちろん大事ですが、そればかりにとらわれず、ものづくりへの思いを大切にするということは変わりません。
刷新した経営理念
時代が変わっても企業が守るべきことが経営理念。私たちは、良い仕事をして、仲間や家族を大切にして、社会に貢献することを企業の理念としています。この理念が絵に描いた餅にならないよう、あえて言葉にしたり、機会を設けて伝えていく必要があると感じています。
コロナ禍が明け、オンラインで行っていた月1回の全体朝礼も現在は実際に顔を合わせて行うようにしました。やはりリアル開催の全体朝礼だと温度感も伝わります。
私の使命は理念を次世代につなげていくこと。そのために上意下達と下意上達を織り交ぜながら組織をつくっていくことが、幹部社員のみならず社員全員の訓練にもなっています。まだ道半ばではありますが、自身がリーダーになったときの未来をイメージしやすいような組織の仕組みが、家業を企業に変えていくためには必要だろうと考えています。
SDGsの取組み
昨年9月に「SDGs宣言」を発表し、労働環境の整備や環境保全、製品・サービスに対する安全性、地域社会への貢献などに対する当社の具体的な取組みを明確にしました。現在、社内の3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進のための促進ポスターを新卒デザイナーにつくってもらい、事務所や工場内に設置している。考えを社内に深く浸透させるためには、ことさらに伝え続けることが重要です。
私の個人的な願いは戦争のない平和な世の中になること。突拍子のない話に聞こえるかもしれませんが、私たちが普段行っている業務とも実はつながっているような気がしています。今後もお客さまも作り手側の私たちも、お互いに笑顔になり、皆が幸せになるような仕事をしていきたいと考えています。