ライフスタイルやガーデニング、アウトドアをテーマとした展示会「MONTAGE」では、よりサステナブルな展示会の開催を目指し、運営や施工といった複数の面からサステナビリティを取り入れている。
具体的な取り組みと今後の展望についてMONTAGEを主催するINIT・稲葉健浩氏に聞いた。(記事・髙橋 菜月)
※この記事は EventBiz vol.41 特別企画「イベントサステナビリティの現在地」に掲載されたものです
ライフスタイル業界とイベントを左右する「サステナブル」
―サステナビリティを意識したタイミングはいつですか
僕自身が強くサステナブルについて意識しはじめたのは、ライフスタイルや雑貨の業界でもエコバッグが流行ったり、リサイクル製品が売れたりした時期だったと記憶しています。
ちょうど2015年にSDGsが「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として、国連総会で採択され、グローバルな企業は事業の展開や製品開発について、環境に配慮することを強く求められるようになった時分でしょうか。

―出展者からもサステナブルに対する意識の変化を感じますか
出展者についても、廃材を使った製品やリサイクル製品をここ数年積極的に開発している印象です。近年はプラスチックの有害性や廃棄の問題が大きく取り上げられるようになり、コロナ前には欧米の大手百貨店のバイヤーがプラスチックのパッケージの使用を完全にやめるという話も業界で話題となりました。
また消費者が供給側に対し、環境問題に対する取り組みだけではなく、どういった考え方で製品を設計し販売しているかといった哲学を問われるシーンも多くなっています。
こうした背景から、サステナビリティを意識した製品は一定の注目度があります。決してバイヤーが一番の目的としているタイプの製品ではありませんが、バイヤーの「自分たちのオリジナル商品やノベルティを作りたい」というニーズに対し、環境に配慮した製品がマッチするようです。
企業が自分たちのスタイルを消費者に表現する際に、サステナブルな商材が選ばれる場合が多いです。
できるアクションから展示会を変える
―サステナブルな展示会を作るため、具体的にどのような取り組みをしていますか
初開催から環境にできる負担をかけない運営を目指しており、徐々にできることを増やしています。現在の主な取り組みをいくつか紹介します。
①ストックルームを設置しない
初期は設置していましたが、各出展者が梱包材とカタログを必要以上に置いてしまうため、結果的にごみが増える原因となることから廃止しました。
余計なものを置く場所がなければ、出展者も最低限の必要なものだけ搬入します。ブースで出たごみも各出展者に持ち帰りをお願いしており、毎回イベント終了後に運営が出すごみは、45Lの袋1つ分程度で済んでいます。
②会場内を過剰に演出しない
MONTAGEは中規模の会場を使い単独で開催しているため、大型会場で開催する大規模展示会のように、入り口や受付に大きなサイン看板を立てるきらびやかな装飾は必要ないと考えています。そのためシンプルな受付にしています。
またカーペットやポスターといった、開催後にごみになってしまうものを廃止し、代わりに会場サインにはリユース可能な布製フラッグを採用し、会場演出としてレンタルグリーンを用いて、廃棄物を無くすと共にC O2削減にも取り組んでいます。
③再利用できる素材の什器を使う
装飾には木材や鉄をはじめ、再利用できる素材の什器を使っています。ブースの仕切りには鉄製のフェンスを設置し、棚やカウンターは木製のものを出展者に貸し出しています。
木製の製品は長く使うと強度が弱くなってきますが、捨てる場合もすべて自然に還ります。さらに現在、什器のメーカーと協力し、古くなったものを新しいアイテムに作り替える計画も視野に入れています。
④そのほかの取り組み
会場の照明はすべてLED電球にしているほか、交通アクセスの案内で公共交通機関に加え、シェアリングエコノミー型サービスを紹介しています。また一部の電力は再生可能エネルギーで発電された電気で補っています。
逆に利用者が少なかったため、マイボトルの持参を呼び掛けて給水スポットを設置することは一旦廃止しました。開催ごとによりサステナブルな運営を模索しています。

奇をてらう必要はない
―MONTAGEはじめ、イベントをよりサステナブルに開催にしていくには、どのような考え方が必要でしょうか
使い捨てではなく繰り返し使うことができ、最終的にどのようにリサイクルされるか、または素材になるかがわかり、ある程度市場に流通している製品を組み合わせ、いかに全体の演出をしていくかが重要です。
奇をてらう必要はなく、自然由来でできるだけ長く使えるものを選び、行く末を見届けるということでしょうか。
急にイベントに大きくサステナビリティを取り入れるのは、コストや運営面から難しいと思います。だからこそMONTAGEでは既製品を取り入れたり、会場マップ、カタログの印刷部数を制限したりと、本当に小さな取り組みから積み重ねてきました。
今後は僕たちがサステナブルな開催に取り組んでいることを広く発信していきたいです。そのためにもほかの展示会やイベントの担当者が、MONTAGEからサステナビリティな取り組みやヒントを持ち帰れるような展示会作りを進めていきます。将来的にはサステナブルな開催を意識したイベントがもっと増えていけば嬉しいです。

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