アジア展示会出展の成功戦略[ノイ]

国内外の展示会ブースの企画や施工を手掛けるノイは、ドイツ市場を中心に培った経験と広範なネットワークを活かし、現在、東南アジアやアメリカ市場にも積極的に展開している。今後はアジアや中東での実績をさらに拡大し、ドイツ語に加えて英語やフランス語にも対応できる体制の強化を図り、より多様な市場への対応を目指す。今回、ノイ・取締役 事業推進室 室長の古川佳尚氏に、アジア展示会の動向と出展時のポイントを聞いた。

ノイ 取締役 事業推進室 室長 古川佳尚氏

特に今年に入ってから、アジアで開催される展示会に出展予定の企業からの問い合わせが増加しています。具体的には、インドネシアやマレーシア、シンガポール、台湾で出展したい企業からの問い合わせが増えており、これまでヨーロッパを得意としてきた当社の活動範囲も広がっています。コロナ禍の影響で一時的に停滞していた出展企業も再び動き出している印象です。

もちろん大手企業の場合、アジアに現地法人があるケースも多く、現地で直接、施工会社を探す選択肢もあるはずです。しかしながら、日本で出展したときと同等のクオリティを求めたい場合は、海外対応ができる施工会社を日本で探すことが多いようです。これにともない、当社も現地のパートナーとの連携を強化しています。

アジアの展示会は、ヨーロッパに比べて日本の展示会の文化や感覚に近いといえるでしょう。日本から近いという地理的メリットもあります。ヨーロッパ出展の場合は難しいですが、アジアであれば、会期終了後も実際に何度も現地に足を運び、商談を行うことも可能です。そういった意味で進出しやすいともいえます。

ブース造作の面では、ヨーロッパで一般的な、天井から吊るす「吊り物」構造のブースはアジアでは少ないです。会場の規約や施工期間の都合で吊り物ができないところが多いからだと思います。それに天井から吊るす際には重量の計算などが必要で、それを行うエンジニアや専門家がいないと難しいです。アジアの場合は、下からの構造物を使って派手なブースを作ることが一般的です。造作には直線的なものよりも曲線を多用する傾向が強く、その点も日本のブースと似ています。

海外出展の失敗談としてありがちなのが、当日会場に入ると、予定していたデザインと異なるブースが組み上がっている事態。これは最も避けるべきケースです。当社の場合は、前もって仮組みを行い、誤差なく組み立てられるように調整してからパーツを分解して現場に持ち込むように対応しています。それによって現場でズレが生じないようにしています。事前にどこに注意を払うべきかを明確に伝えておけば、基本的には指示通りのブースができあがります。

ヨーロッパでは、施工会社は自信を持って「これがベストだ」と考えていることが多く、改善依頼や要望を伝えても「こちらのやり方が効率的だ」と主張されることさえあります。一方で、アジアの場合は顧客の意向に沿って対応する文化が強いです。柔軟に対応してくれることが多く、ヨーロッパよりも共感しやすい面があると感じます。とはいえ、日本で依頼する場合はさらに、クライアント側の意図を汲み取って、気配りをしてくれることがありますが、アジアとはいえ、国外出展の場合は事前にはっきりと希望を伝えることが大切です。

予想以上の経費がかかると覚悟しておく必要があります。宿泊や飛行機などの出張経費はヨーロッパへ行くよりも安価ですが、現地の物価や施工費は安価とは言い難いです。国内の展示会に慣れていると、1小間あたり50~60万円で対応できるという感覚があるかもしれませんが、アジアでは同様の価格で対応するのは難しい場合が多いです。

また、商談をすることを重視して、現地でのコミュニケーションを大切にしていただくことも重要です。単に出展するだけでなく、現地で円滑に商談できる環境を整え、継続的に訪問できる営業体制を持つことが理想です。

会社名株式会社 ノイ
事業内容世界各地の各種見本市、展示会ブースの出展ブース設計及び施工
上記に関わるコンサルタント業務、グローバル事業のサポート
各種宣伝広告物の企画、デザイン、製作、プライベートイベントの企画、運営
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