技術を活かして現場を支える営業の視点|イベントのしごと

イベント映像演出の現場では、営業職にも現場の知識や柔軟な対応力が求められる場面が増えている。そのような中で“技術に強い営業”として活躍する教映社・森田佳典氏に印象的な現場エピソードやトレンドについて話を聞いた。(掲載=「見本市展示会通信」2024/12/15号)

教映社 イベントシステム事業部 首都圏営業部 営業3課 主事/Gリーダー 森田 佳典 氏

―入社の経緯やキャリアについて教えてください

私は2013年度に新卒で入社し、今年で11年目になります。もともとテレビ業界を志望しており、大阪のテレビ局での仕事を夢見て大阪で採用試験を受けました。しかし結果的に東京配属となり、少し驚きました。入社時から現在まで営業部に所属しています。教映社では基本的に最初の3カ月は研修期間があります。その後に配属が決まりますが、通常はテクニカル部門を経由してから営業に移るのが一般的です。私の場合は研修後すぐに営業に配属され、テクニカルを経験することなく営業に入ったのは珍しいケースだと思います。

―ですが、実際の現場では機材オペレーションも手掛けていると伺いました。どのようにして技術を習得されたのでしょうか

現場でのOJTが中心で、先輩オペレーターの仕事を見ながら、スイッチャーなどを触って覚えていきました。営業をしながら技術的なスキルも磨いていったかたちです。営業がテクニカルを理解していると、現場やお客様とのやり取りで役立ちます。例えば、クライアントとの打ち合わせ中に技術的な質問が出た場合、即答できると信頼感につながります。また現場を円滑に進めるためには段取りが重要であり、その段取りを考えるうえでもテクニカルの知識があるとスムーズです。事前準備が成功の6〜7割を決めると言っても過言ではありません。自分が現場で何をすべきか、またチームにどのように役割を割り振るかを意識しながら学んでいます。

―チームで動く際に意識していることは何でしょう。特に後輩との接し方について、気を付けていることはありますか

「その人に合った役割をどのように割り振るか」という点を意識しています。現場では複数人で対応することが多く、誰がどのポジションに入ると効率的か、また誰と誰が組むと良いかを考えるようにしています。役割分担を工夫することで、できるだけスムーズに進むよう心掛けています。社内でも同じで「この人ならこの部分をお願いできるかな」と考えながら仕事を割り振ります。一度役割を任せたら、基本的には信頼して見守るスタイルを取っています。後輩の場合は、最初は負担が少ない部分から少しずつ挑戦してもらうようにしています。「これができたなら、次はこれもいけるかもしれない」というように、無理のない範囲で段階を踏むかたちを大事にしています。経験を積む中で、少しずつ責任のある役割を担えるようサポートしています。

―印象的だった現場のエピソードについて教えてください

たくさんありますが、特に印象的だったのはあるCM撮影の現場です。そのCMでは、360度投影できる球体スクリーン「ビデオバルーン」をセットの一部として使用しました。プロフェッショナルな技術者が集まる現場で、非常に学びが多かったです。また、海外アーティストがさいたまスーパーアリーナで行ったコンサートの現場も衝撃的でした。初めて見るほど巨大なLEDセットや演出に感動しました。それがコンサートの仕事に憧れるきっかけだったと思います。

―映像機材や演出のトレンドについて、どのように感じていますか

一般の方々の目が肥えてきていると感じます。ネットで簡単に情報が得られ、現地に行かなくても演出内容をある程度知ることができるようになったためです。そのような知識を持つお客様にリアルイベントでさらに感動していただくには、まずは高解像度な映像が前提条件として求められます。そして、それだけでなく、それらを活かしたコンテンツや見せ方の工夫も一層重要になってきています。これまではLEDディスプレイも16:9の比率を守って使用することが多かったですが、最近では柔軟にLEDが組めるようになりました。球体や円錐型のLED、さらにはそれが昇降するような仕掛けもあります。映像がセットの一部として扱われることが増え、演出の幅が広がっています。

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