【特集:周年、どう活かす?】中村展設、110周年は「次の100年への出発点」

 
ピーオーピー設立50周年記念
特集『周年、どう活かす?』イベント業界各社の記念施策
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イベントのプロは、自社の周年をどう活かしたのか。
「祝う」だけで終わらせない各社の工夫から、
これからの周年施策のヒントを探る。
 

  

大正時代、博覧会の企画・施工を専門に創業した中村展設は、2027年3月1日に創業110周年を迎える。2017年の100周年では、博覧会の歴史をまとめた書籍の刊行と伝統芸能のショーを通じて創業以来の歩みを振り返り、取引先に謝意を伝えた。110周年は100周年とは位置付けを変え、次の時代に向けた宣言の場とする。若手への権限委譲や評価制度の見直しを進める代表取締役・小川裕久氏に、周年を機に変えるものと変えないものを聞いた。

  

周年を彩る書籍と伝統芸能

中村展設 小川 裕久 氏
『実録 博覧會』

100周年の記念施策は二本柱だった。一つは書籍『実録 博覧會』の刊行だ。日本における博覧会の変遷をたどる全6巻構想の資料集で、100周年までに3巻を刊行した。

もう一つが、式典「感謝の夕べ」で披露した伝統芸能のショーである。博覧会で行われてきた催しを振り返る趣旨で、雅楽などの演目をそろえた。出演者の手配は、博覧会資料の収集を手掛ける中村順一会長が、自身の人脈を生かして担った。

110周年の式典は、100周年と同じ会場で開く。テーマは創業期にちなんだ「大正ロマン」。中心となる演目として、活動弁士が語りを添える無声映画の上映を予定している。創業の地にゆかりのある浅草の当時の様子を描く作品で、人形をコマ撮りで動かす映像として制作されたものである。ほかにも来場者を当時の世界へいざなう企画を予定している。同社は毎年3〜4人の新卒採用を続け、社員数も増えている。100周年の式典を経験していない社員も多い。演目の多くは、社員にとっても当日初めて目にするものになる。

『実録 博覧會』は、残る巻の制作が続いている。専門家とチームを組み、資料をまとめている最中だ。完成すれば、博覧会研究の資料として役立ち、社会貢献にもつながると小川氏はみる。

  

長く働ける環境とは

110周年では、歴史を受け継ぎながら会社が生まれ変わり、200周年に向けて歩み出すことを宣言する。小川氏が110周年で打ち出したいのは、若手を軸にした経営だ。

「生き残っている会社は、みんな変化しているから生き残っている。ここで変化のスピードを止めれば、過去を見るだけになる」。その変化を担うのが、世の中の動きに最も敏感な若手だという。

小川氏は社長就任後、評価制度を大きく改めた。役員や社長にならなくても、頑張りに応じて報酬を得られる仕組みにした。転職の多い業界で、人材の定着を図る狙いもある。社員にはさまざまなタイプがあり、会社は人の組み合わせで成り立つ。一人ひとりの持ち味を生かして評価することで、社員が自らの力を理解し、長く活躍できる環境を整える。

  

変えない強み

変化を掲げる一方で、変えないものもある。博覧会から事業領域を広げる中でも、同社は顧客ファーストを貫き、社員自身のワクワク感も大切にしてきた。若手に権限を委ねても、効率や利益だけを追うのではなく、来場者の喜ぶ姿を重んじる姿勢を保ち、利益とのバランスを取る。

また、コロナ禍ではバーチャルの活用が広がったが、小川氏はむしろ、ツールが進化するほどリアルの必要性が再確認されたと感じている。同社は企画開発に加え、企画をリアルな空間に仕上げる力を磨いてきた。

本質は変えず、実際の運用は変えていく。その方が社内外の理解も得やすい。過去と変化を切り離さない。それが中村展設の考え方だ。

編集/執筆/取材

展示会・MICEの最新情報を発信する専門メディア「イベスル」の公式編集部です。東京ビッグサイトをはじめとする見本市会場に足を運び、主催者や出展者への直接取材を通じた「一次情報」をお届けしています。ビジネスチャンスを創出する場としてのMICEの魅力を、現場の視点からレポートします。

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