
JR東日本が今年5月、TAKANAWA GATEWAY Convention Centerで開催した「GATEWAY Tech TAKANAWA」。 TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)から生まれた、新たなビジネスや取り組みを発信するためのビジネスイベントだ。来場者数前年比1.8倍、満足度96%を達成したイベントを担当した茂木彩乃さん(JR東日本ビルディング)に企画でのこだわりや成功の要素について伺った。

街から生まれるビジネスや取り組みを発表する
──GATEWAY Tech TAKANAWA の背景について教えてください
TAKANAWA GATEWAY CITY は「100年先の心豊かな暮らしのための実験場」を掲げ、共創によるまちづくりを進めています。環境、モビリティ、ヘルスケア、地域創生の4つのテーマについて長期的なビジョンで取り組み、街の共創拠点「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub(LiSH)」では、新たなビジネスや文化創造を目指して日々実験が行われています。
こうした街ぐるみの共創や実験の成果を広く発信し、多くの人に現場の熱量を体感してもらう場として誕生したのが「GATEWAY Tech TAKANAWA」です。昨年のまちびらきに合わせて初開催され、80社超が出展、約2,500人が来場しました。
──今年の開催について。結果はいかがでしたか
目標来場者数は3,000人に設定したのですが、予想を大きく上回る約 4,500人が来場しました。出展者も 114社と大きく増やすことができました。
来場者が前年比1.8倍となった背景には、商業施設や文化施設を含んだ今年3月のグランドオープンが大きな後押しとなりました。ビジネスパーソンだけでなく、学生や中高生といったテーマに興味を持った一般来場者など幅広い層が訪れ、当日登録も少なくありませんでした。駅前広場も活用して、屋外には人目を惹くロボットや自動運転車両などを展示したので、そこから興味を持った人がメイン会場に足を運ぶ流れができていました。


──参加者からの反応についても教えてください
前回からのリピーターも多く、来場者アンケートでは96%が満足と回答いただきました。評価が高かったポイントとして挙げられていたのは、 駅からのアクセス性、会場の回りやすさ、コンテンツの充実です。
スタートアップ企業が出会いたいと思う、大企業の関係者の来場が多かったことも影響し、出展者からも高い評価をいただきました。朝からブースへの来訪が途切れず、昼食を取れないほど対応が続いたという声もありました。大企業、スタートアップ、大学、研究機関、そして街のテナント企業など多様な参加者が集まり、商談や新たな連携につながる機会となり、出展者と来場者の交流やビジネスマッチングの面でも、期待を上回る成果が得られたと思っています。
エリアやプログラム構成は会場の回遊性を意識
──イベントの設計で工夫した点はありますか
2025年の開催時には地下のホールの一部と6階の会議室で展開して、 テーマごとにエリアを分けて開催したのですが、来場者から「一度に全体を見たい」という声が寄せられました。そこで今回は、地下のホールをすべて使用して、展示とトークセッションをワンフロアに集約しました。テーマごとに見せるという点では前回の構成にも良さはありましたが、今回は複数のテーマを横断して見てもらいたかったので、会場全体を見渡せるレイアウトにしました。結果として来場者にとって、関心のある出展者だけでなく新たな発見に出会う場にできたのではないでしょうか。

壁を使わずに空間内をエリア分けすることも、展示のにぎわいを会場全体に広げつつ、出展者も関心のあるセッションに参加しやすい空間につながったと思います。ほかにも受付後に自然に会場内を巡って出口へ向かえるように、入口と出口を分けました。ガイドブックを制作したり、 出展者用のピッチコーナーを出口付近に用意したりと、来場者が関心のあるビジネスを見つけられる設計を意識しました。
時間効率も重視しました。カンファレンスは4つのテーマごとに時間を分けて実施し、興味のあるプログラムに合わせて来場できるようにしました。コンパクトな会場構成と駅直結というアクセスの良さも相まって、限られた時間でも効率よく回遊しながらイベントを楽しんでいただけたと思います。


──アクセス性の話がありましたが、 イベント運営の面で会場の強みを感じた場面はありましたか
VIP動線が優れていました。 GATEWAY Tech TAKANAWAでは各分野の第一線で活躍する著名な方々にも多数ご登壇いただきました。 熱心なファンもいらっしゃいますから動線には細心の注意を払う必要がありましたが、ホールは車両で控室付近まで乗り入れられるため、一般来場者と交わることなく入退場していただけました。スムーズな誘導が実現できる点は、安全性確保や円滑な運営につながります。



そのほか印象的だったのが、ビジネス以外の目的で街に立ち寄った人のなかから、駅前広場でのデモンストレーションや技術・展示に関心を持って来場された方が一定数いたことでした。例えば赤ちゃんを連れたお母さんがいらっしゃっていたのですが、聞くと現在は育児休暇中で、 仕事で関心のある分野だったから来てみたということでした。こうした来場誘致ができるのは、この街・この催事ならではの特徴ではないでしょうか。
今回のように駅前広場を起点にホールまで誘導できるので当日参加を含む、さまざまな方を呼びたいときに適した会場かと思いきや、地下のホールや6階の会議室はほかの動線と交わらないので、完全クローズドのイベントにも対応できる。使い方によってさまざまなチャレンジができる面白い会場だと思います。
イベントも街も挑戦を続けていく
──今後、TAKANAWA GATEWAY CITYの共創はどのような方向を目指しますか

高輪を起点に、新しいビジネスを発信する街を目指したいと考えています。
街では日々さまざまな実証実験が行われていますが、今後はその成果を街の中で実装し、社会へ広げていくフェーズに入っていきます。 TAKANAWA GATEWAY CITYでは、多様な企業や研究機関、スタートアップなどが集い、それぞれの強みを掛け合わせながら新たな価値創出に挑戦しています。こうした共創の取り組みを通じて、この街から新しい事業やサービスを生み出し、社会課題の解決や持続可能な社会の実現につなげていきたいと考えています。今後もこうした取り組みをさらに増やし、新しいチャレンジや共創に前向きな企業や人が集まる街にしていきたいですね。
またJR東日本としては高輪だけでなく浜松町から大井町までを「広域品川圏」として一体的に盛り上げていく構想も進めています。今後は高輪から生まれた取り組みを周辺エリアにも広げながら、より大きな発信につなげていければと思っています。
──目指すかたちのなかで、 GATEWAY Tech TAKANAWAはどのような役割を担っていきますか
次回は実証実験から“実装”へと段階を進めます。駅前広場では LiSHで進んでいる植生のABテストの結果を展示しましたが、それが一歩進んで外に発展していくイメージです。街の機能が整うにつれて、実装できる領域も広がっていくでしょう。街で生まれた技術や取り組みが生活やビジネスのなかでどのように活用されているのか。実装事例や実装を目指すプロジェクトについて、体験型のデモンストレーションや展示を通じて紹介していきたいです。

LiSHの見学ツアーの復活を希望する声もあったので、そうした意見も踏まえながら、今まで以上に TAKANAWA GATEWAY CITYを体感できるイベントを目指します。 1回目と2回目で会場の構成を変えたように、イベントのやりかたも実験のようにコンテンツに合わせて新しいチャレンジをしていきます。
私たちの主軸である鉄道事業で培ってきた安全・安心の考え方を土台に、TAKANAWA GATEWAY CITYでは未来に向けた新たな挑戦を後押ししています。実証実験もイベントも、試行錯誤を重ねながら改善していくものだと思っています。 次回も新たなチャレンジを取り入れ、さらに進化したGATEWAY Tech TAKANAWAをお見せします。
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