東京ビッグサイト、イベント業界向け「ネットゼロへのロードマップ」翻訳

本記事は2023年7月15日発行の専門紙『見本市展示会通信』第902号で掲載した内容をWEB版記事として転載および再編集したものです。

UFI、ICCA、IAPCOなどのメンバーで構成されるJoint Meetings Industry Council(JMIC)の取組みである「Net Zero Carbon Events」は2022年11月、エジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で、イベント業界向けのロードマップ「A Net Zero Roadmap for the Events Industry」を発表した。さらに今年5月には、東京ビッグサイトが日本語に翻訳した。79ページにもわたる日本語版資料は現在、東京ビッグサイトの公式HPで閲覧可能である。

2050年にネットゼロ実現を目指す本ロードマップは3つのパートに分かれており、第1部「共通のアプローチ」では、企業の道筋と優先活動分野を定め、イベント業界がネットゼロに向けて前進するための包括的な枠組みを提供する。第2部「ガイドラインとリソース」では、企業がネットゼロの道筋を構築し始める際の技術的なサポートを提供し、一貫性を確保するために業界全体で使用される共通のアプローチを確立することに努める。第3部「詳細情報」には、主要トピックに関する付録が含まれる。

ネットゼロイベントとは

「カーボンニュートラルイベント」「ネットゼロイベント」は、ともにイベントが環境に与える影響を軽減するための取組みであるが、本ロードマップでは使い分けている。カーボンニュートラルイベントは、そのイベントによって発生するCO2排出量を数値化し、その分を削減もしくはオフセットすることで達成される。一方、ネットゼロイベントは、イベントそのものだけでなく、イベントを支える全体の仕組みと構造がネットゼロ、つまり排出される温室効果ガスと削減・吸収される温室効果ガスが釣り合う状態を達成することを目指す。またカーボンニュートラルはネットゼロに向けた中間的なステップであると位置づけており、ネットゼロを実現するには体系的な変更と発展が求められる。

ネットゼロイベントの考え方には、主催者や会場、サービスプロバイダー、出展者、来場者などのイベント関係者だけでなく、供給チェーンや参加者の移動などのイベントに関連する全ての要素が含まれる。イベントは木の葉に例えられ、それを支える全体的なシステムが健全であれば、イベントもようやく健全であるといえる。

優先活動分野

ロードマップは5つの優先活動分野で構成されている。

  1. クリーンで再生可能なエネルギーによって、イベントを効率的に支える
  2. イベントを再設計してサステナブルな素材を活用し廃棄物をゼロにする
  3. 食品をサステナブルな方法で調達し、食品廃棄物を減らす
  4. 物と機器を効率的に移動させ、排出ゼロのロジスティクスに移行する
  5. イベントへの移動の際の排出量を削減および緩和するようにパートナーと連携し、パートナーに働きかける。

またそれぞれの活動分野に対して、ビジョンや2050年までの道筋、会場・主催者・サービスプロバイダーの最重要行動が示されている。

【参考資料】イベント排出の優先順位付け

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