[安全大会レポート]サクラインターナショナル安全大会2024

サクラインターナショナルは8月23日、「安全大会2024」を大阪商工会議所(大阪市中央区)で開催した。このイベントは今年度の事故事例や各部門の安全に対する取り組みを共有するもので、同社の社員と協力企業から81名が参加した。

◎開会宣言
冒頭、安全委員会・浦久保委員長が「猛暑や新しい労働法をはじめ、現場で働く人々にとって厳しい状況が続いている。今日を、安全に対し改めて安全意識を高める機会としてほしい」と開会宣言した。

◎安全巡回実施報告、事故統計報告
その後、「安全巡回実施報告」を安全巡回班の森田氏が行った。安全委員会では現場での危険な作業やルールの不順守がないかを確認するため現場を巡回しており、一年間の巡回現場の一覧や件数を報告した。巡回時の具体的なポイントは、テールゲートリフターやフォークリフトの荷下ろしで声をかけながら作業を実施しているか、2名以上で台車の手押し移動をしているか、脚立は正しく使用されているか、など。またヘルメットの着用についても、森田氏は「ここ数年で未着用者は減少したが、あご紐を締めていないケースが見受けられる。正しく着用してほしい」と呼びかけた。

事故統計報告では今年度、事故の発生は15件となり、ヒヤリハットは5件にとどまる結果となった。事故には台車のぶつかり、車両の接触が含まれる。あわせて事故とヒヤリハットの発生場所と事故区分についても報告した。東京の現場で10件、大阪で5件、東京工場で1件、奈良工場で2件、その他で2件となった。車両による事故のほか、人身事故や落下、壁や柱の倒壊に関するものも発生した。

また過去3年間の事故の傾向を説明。今年度は車両関係の事故が多かったため、車両に焦点を当て、原因を分析した。担当の伊藤氏は「周囲の確認不足や不注意によるものが多く発生してしまった。しっかりと周りを見れば防げた事故。類似の事故が起きないよう確認を徹底してほしい」と話した。

◎安全対策の発表
今年発生した重大物損事故について、電気工事における事故事例と今後の安全対策を協力会社H社が発表した。事故事例の1件目は、展示会の開催日初日に出展者ブース内で発生したもの。誤って100Vのコンセントに200V電源を接続し、それによって出展機械が破損した。原因について、分電盤の中に工具なしで100Vと200Vを切り替えられるものがあり、別の展示会で200Vに切り替えて使用、そのままの状態で使用してしまったことにあると説明。加えて、施工後には必ずすべてのコンセントに対して適正な電圧が得られているのか確認するが、この時点でも見落としてしまったとしている。対応として100V電源へ再接続し、ブース担当者に事故内容の説明と謝罪、開催終了後に破損した機械の新品購入分を弁済した。今後の対策として、工具なしで電圧を切り替えられる分電盤の使用を禁止し、廃棄。新たに100V専用の分電盤を運営していく方針とした。

2件目は大阪での展示会で、特装ブースで発生したもの。 100Vコンセントに作業員の200Vのブレーカーを接続し、その電源を使用した機械が破損した。さらに出展者が持ち込んだ代替機が漏電を起こしており、開催日初日は機械のデモンストレーションが一切行えなかった。原因としては100Vの機械に、200Vのオスキャップが出展者自作の変換ケーブルに取り付けられていた。それを見た作業員が200Vのコンセントだと判断し、誤って200Vのブレーカーを接続してしまった点。作業前に現場管理者に相談と報告がなかったことも事故につながった要因だと説明した。開催終了後に出展者に対して、元請けであるサクラインターナショナルを通じ、出展機械の新品保障と、出展費用の約半分を合わせて賠償した。今後の対策として、安全大会を関連企業とともに行い、事故の顛末を周知した。また発注内容を変更する際には上位企業に事前に確認すること、責任を取れない作業を独自で判断し、行わないことを徹底するよう、安全教育を行った。

◎安全標語の発表と表彰
安全標語には協力企業から50件、サクラインターナショナル内から247件の応募があり、そのうち33作品を安全標語として設定する。今回、最優秀賞となったのは「危険の芽 摘むのは日頃の 安全意識」(駒井明日香氏)。優秀賞は「危ないよ! 言える空気と 言う勇気」(今井雄彦氏)、佳作は「事故防止! 惜しむな確認 積みかさね」(多田一樹氏)。いずれもサクラインターナショナルからの受賞。最優秀賞を受賞した駒井氏は「事故には思い込みや体調不良などさまざまな原因があり、気を付けていても起こる。自分は大丈夫だという気持ちから、もしかしたらという意識を毎日持つことが大切。私も危険が育たない芽の内から、摘み取るようにしていきたい」述べた。

◎安全指針の改訂、安全宣言
サクラインターナショナルは「安全指針19か条」を2021年に設定し、内容を適宜改訂しているが、今回は労働安全衛生規則の改正に沿って一部を変更。改訂のポイントを周知した。続けて、各部署と協力企業が安全宣言を実施。工場安全委員、営業部門、クリエイティブ部門、オーガナイザーサポート部門、生産部門と協力企業が登壇。それぞれの業務と、それらに対応した安全への取り組みと目標を発表した。また同社が安全のために協力企業と行う「危険予知ミーティング(KYM)」の実施報告がWEBからも可能となり、提出方法の詳細について説明した。

◎大会決議文の発表、閉会挨拶
大会決議文の発表では、来年には大阪・関西万博も控えて多忙な一年となることに触れ、「ルールを守るだけでなく、一人一人が安全意識を高く持つことを改めて決意し、事故を起こさない取り組みができているのか、日頃から確認し業務に努める」といった旨の決議文を共有した。

閉会では妙代金幸代表取締役が登壇。「今期は会社として40%の売上の増加を達成している。来期も30%の増加を予定しており、中国・輸入博をはじめとした海外出展など、今後も多くの活動を計画している。改めて安全意識を高めていただき、一層の協力をお願いしたい」と挨拶した。

◎新拠点「飛鳥スタジオ」
建設中の新奈良工場「飛鳥スタジオ」を紹介した。2024年5月から着工しており、事務所と工場を兼ねる。場所は奈良県橿原市で、インテックス大阪からも約1時間と好アクセス。今年12月には内覧会を予定している。

error:
タイトルとURLをコピーしました