【連載】「ありえない」ブースデザインの工夫|#2 ブース内部を「窮屈」にすると来場者が集まる。[SUPER PENGUIN/竹村 尚久]

<セミナー情報>

竹村氏が登壇するセミナーが2024年12月6日、エコプロ2024会場内(東京ビッグサイト)で開催される。講演テーマは「次代の展示会をつくる『ブース』のデザインとその構法」。展示会ブースデザインがサステナブル社会において果たす役割について取り上げる。現在主流の木工ブースやオクタノルム構法の特徴を解説した後、自身が試作を進める「再生板紙構法」を紹介。ブース設計者や展示会主催者、製紙業界関係者にとって新たな市場開拓や持続可能性を追求するヒントを得られる内容となっている。

●セミナー概要
日時: 2024年12月6日(金) 13:50~14:30
会場: エコプロ会場内セミナーステージ
講師: 竹村尚久氏(SUPER PENGUIN 代表
取締役

●展示会概要
名称: エコプロ[第26回]
会期: 2024年12月4日(水)~6日(金) 10:00~17:00
会場: 東京ビッグサイト(東ホール)
主催: サステナブル経営推進機構、日本経済新聞社

今回は、ブースのレイアウトについてお伝えしてみたい。本記事では「通常やらないこと」を敢えて記載しているので、今回も「え? そんなことやるの?」と言われることを書いてみたい。

ブースのレイアウトをどのように考えるのか。多くの出展社やブースデザイナーの方々は、まず設置するべき商品を決め、それをブース内に適正配置する、このような順序で検討を進めていくことだろう。もちろんこれは間違いではない。強いて言えば、商品の配置検討と同時に、通路の中央を歩く来場者をどのように引き寄せ、どうブース内を誘導していくのか、接客の流れから配置を決めていくことが大切だろう。

そんなレイアウト検討時、私は敢えてブース内を「狭く」することがある。二人がすれ違うブース内通路幅は1,300㎜あれば十分ではあるが、それを1,000㎜にする、という感じだ。このようにすると、来場者からすると窮屈に感じるかもしれないし、出展社からすると接客がしにくい、ということになる。でも、敢えてする。その意図は、ブースの外から見た時に「ブース内が賑わっているように見せる」ということにある。なので、この手法は全体的な来場者数が少ない展示会、来場者を集めることが難しいと判断される場合などに適用している考え方だ。

同様の考え方で、このようなこともする。4小間やそれ以上のサイズのブースで、4面もしくは3面が通路になっている場合、商品を設置する展示台をどの通路に向けるべきか、悩む方もいるのではないだろうか。私はそのような場合、メインとなる通路にだけブースを開放して、その他の通路面には背を向け、ブース内部に展示台を設置するようにする。つまり、ブースの内部に来場者が集中するようにレイアウトを構成する。「通路に背を向けていいはずがない」。きっと業界歴の長い人ほど、そのように言うかもしれない。

では、なぜブース内通路幅を敢えて狭くしたり、通路に背を向けてブース内部に来場者が集中するように仕向けるのか。それは、ブース集客において大事なことは「来場者をまずブースに引き寄せること」だからだ。来場者の基本的な心理として、ブース内に誰もいない場合にはそのブースに近寄らなくなってしまう。「つかまってしまう」と思うからだ。ましてや、出展社スタッフがブースの前に整列して待ち構えていたら猶更だ。この観点から、ブースの内部に常に来場者がいる状況を見せることや、「にぎわっているように」見せることは、来場者が自然にブース内に入ってくるようになることに繋がる。

多くの出展社は、自社製品を「どのように伝えるか」については深く考えるが、遠くを歩いている来場者を「引き寄せる」ことについてはあまり深く考えていない、と日頃感じている。商談をするためには、まずブースに立ち寄ってもらわなければそれも叶わない。そのためには、たとえ少しの人数でもブース内が賑わっているように見える、という手法は、状況によっては立派な集客デザインの手法となり得る、と感じている。

第1回 「シンプル」にブースをつくると集客効果が最大化する。

竹村 尚久|NAOHISA TAKEMURA
SUPER PENGUIN
代表取締役/展示会デザイナー

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