
日本映像機材レンタル協会(JVRA)は7月17日、ホテルイースト21東京で「業務担当責任者会議」を開催した。当日はトークセッション・第一部「ISE・InfoComm 海外展示会 視察報告」が行われた。「ISE 2026」を視察したシネ・フォーカスの栁下一貴氏とヒビノシグマライズの菊地真生氏、「InfoComm2026」を視察したタケナカの錦戸大輝氏の3名が登壇し、進行役の光響社・占部吉直氏、技術的な解説役としてシーマ・石丸隆氏が加わる形でセッションは進んだ。続く第二部では、イベント業界に広がる AI 活用について意見が交わされた。
【第一部】海外展示会視察報告
「ISE2026」報告
まずは「ISE 2026」 の概要が紹介された。ISE(Integrated Systems Europe)は、世界最大級の AV およびシステムインテグレーション分野の展示会である。2月3日から6日まで、スペイン・バルセロナの Fira de Barcelona Gran Via で開催。世界中から92,170人の来場者を迎え、過去最高となった。出展者は初出展323社を含む合計1,751社となった。



見せ方に工夫を凝らしたブース


スペックの新しさだけでなく、展示の見せ方に工夫を凝らしたブースも紹介された。リング状に設置された透過型 LED の内側からプロジェクターで映像を投影する構成(LANG 社ブース)で、「透過型 LED とプロジェクターによる映像を組み合わせた展示になっていて、それぞれのいいところが引き出されている」(菊地氏)。

角が丸い珍しい形状の LEDディスプレイも展示されていた(LiGHTLiNK 社ブース)。「本展は透過型LEDの出展が多かったが、加えて今回、角丸の LEDディスプレイも色々なブースで見られた。形を意識したパネルがたくさんあった」(菊地氏)。

透明パネルとミラーを組み合わせた立体構造にプロジェクターで投影する演出(EPSON 社ブース)があり、栁下氏は「透明なパネルとミラーで立体的に構成したものに対してプロジェクターでブレンディング投影することで構築された、非常に目を引く演出」と話した。「日本だとなかなかない演出。圧巻だった」とも語った。
続いて、見せ方の工夫という点で、かなりのインパクトを放っていた展示についても触れられた。

「InfoComm 2026」報告
続いて「InfoComm 2026」を視察した錦戸氏の報告に移った。InfoComm(インフォコム)は、北米最大級のプロフェッショナル AV 機器・情報通信技術の展示会。年1回、ラスベガスとオーランドで交互に開催している。今年は6月13日から19日まで、ラスベガスコンベンションセンターで開催し、94カ国から28,132人が来場した。



【第二部】業界に広がるAI活用

トークセッション第二部は、第一部と同じメンバーで「AI 活用」をテーマに実施された。セッションの冒頭、石丸氏から会場に向けて挙手アンケートが行われた。無料版も含め、何らかの AI を業務で使っている参加者が多数にのぼった一方、有料プランでの利用は全体の3分の1程度、見積もりやプレゼン資料など具体的な業務判断に AI を活用している参加者はごく一部にとどまった。現時点では、試している段階の企業が大半であることがうかがえた。
それぞれの AI 活用
パネリストからはそれぞれの立場での AI 活用について意見が挙がった。営業提案の場面では、現地下見の際に撮影した写真に映像を合成し、「実際の現場ではこのように見える」イメージを作った上で、顧客に提案する使い方が紹介された。以前は専門的な映像編集ソフトがなければ難しかった作業が、AI によって簡易にできるようになったという。
一方で、機材の操作で不明点があった際、取扱説明書を探す代わりに AI へ質問するという使い方も挙がった。ピンポイントで答えが返ってくる点は評価しつつも「まだあまり取り入れられていない」「結局、最後は取扱説明書の PDF に行き着くことが多い」といった率直な声もあった。
投げかけられたテーマ「このままでいいのか」
セッションの時間の多くは、具体的な AI 活用術というよりも「イベント・レンタル業界はこのままで生き残っていけるのか」というテーマに割かれた。石丸氏が生成AI を使って作成した資料をもとに、顧客側が本当に求めているものは何か、機材を持つことの意味、これから求められる人材像といった論点が次々と提示され、会場に投げかけられる形で進行した。もっとも、これらは生成 AI が導き出した仮説的な提言であり、詳細なデータ検証というよりも、業界の今後を考えるきっかけとして提示された。
本セッションでは提案準備や日々の調べものといった身近な使い方から、業界の先行きをめぐる大きな問いまで、AI が関わる領域の幅広さが垣間見えた。現在は、AI というテーマ自体がまだ発展途上である以上、議論を重ねながら、各社が自分たちなりの向き合い方を探っていく段階だと言えそうだ。
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