無線機やトランシーバーのレンタル・販売を手掛けるエクセリは、既存の業務用無線機にAI機能を組み合わせた新サービスの展開を進めている。同時翻訳機能や生成AIを活用し、イベント運営における多言語対応や業務効率化を支援する。「枯れた技術と最新技術を組み合わせることでイノベーションが起きる」と話す同社・代表取締役社長の吉田統一氏に今後の展望を聞いた。
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同社が目指す無線機×AIの活用は大きく3つの方向性だ。
第一に、無線機への同時翻訳機能の搭載だ。インバウンド需要の拡大や国内労働人口の減少を背景に、現場では外国人労働者の存在感が増している。吉田社長は「N1やN2といった日本語能力の等級は一つの基準にすぎず、それだけで現場対応力を保証するものではない」と話す。言語の習熟度に頼らずコミュニケーションを成立させる手段として、同時翻訳機能に着目した。同社は今年7月から、同時翻訳機能を搭載したJVCケンウッド製のIP無線機の取り扱いを開始している。現場のスタッフが日本語で話しかけると、サーバー上で複数の翻訳エンジンを自動で組み合わせて処理し、対応言語は29カ国語にも及ぶ。あわせて通信面では、複数の携帯キャリア回線を自動判別し、その都度最適な回線を選択する。来場者が集中し通信が混雑しやすい大規模イベントの会場でも、安定した通信品質を確保できるという。発話から翻訳が返ってくるまでの速度も、体感として違和感のないレベルだった。

第二に、生成AIの活用だ。無線機とカメラを連携させ、来場者からの問いかけに対しAIが自然言語で応答する仕組みを構想している。例えば、スタッフが無線機を通じて会場内の待機人数を尋ねると、カメラが検知した情報をもとにAIが回答する。また、イベントの運営マニュアルを事前にAIに読み込ませておくことで、来場者からの問い合わせにも自動で対応できるようになる。将来的には、来場者対応の音声データを蓄積・分析することで、問題点の抽出やレポート作成の自動化にもつなげる。
第三に、AIが状況を検知して人に対応を促す「エージェンティックAI」の活用だ。トラブルや混雑の兆候をAIが検知し、警備担当者やイベント主催者に自動で報告する仕組みの実現を目指す。
同社は無線機とAI、IoTを組み合わせた事業領域を成長分野の一つと位置付けており、上場企業として、さらなる成長ステージを目指す考えだ。吉田社長は「無線機とAI、IoTを組み合わせた仕組みを、全国各地の無線事業者が新たなビジネスを広げるきっかけにしていきたい」と述べ、業界全体への波及に意欲を見せた。
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