資源循環とコスト削減を両立 海藻由来の「剥がせる」接着剤 ―博展、we+、セメダイン

展示会・イベント業界における廃棄物削減は喫緊の課題であり、中でも有効な手立ての一つが資材の長寿命化だ。

展示会・イベントなどの仮設空間では、主に壁面や什器に、木製パネルへ表具を貼ったものが使用される。パネルをリユースする取り組み自体は業界内では一般的だが、パネルの転用回数は5回~7回が目安とされる。表具を剥がす際に糊や紙の剥がし残りが発生し、基材であるベニヤを徐々に傷めてしまうためだ。それゆえ一定回数使用した後は、品質維持のためにパネル自体を新たに製作する必要がある。

こうした現場の課題に対し、博展、we+、セメダインの3社は、海藻由来の接着剤「LOOPGLUE(ループグルー)」を共同開発した。ループグルーの主成分は、昆布の粘着成分であるアルギン酸ナトリウムを中心とした自然由来原料である。

展示会やイベントでの通常使用を想定し、会期中に求められる接着性と撤去時に水で剥がせる「易解体性」の両立を図った。

接着性能については、初期条件と高温多湿条件でせん断接着強さ(貼り合わせた材料を横方向にずらす力への耐性)を確認した。初期条件(温度23℃・相対湿度50%で1週間)では、素材の組み合わせによって差はあるものの、比較対象の一般的な接着剤と同程度の強度を示した。

さらに、温度50℃・相対湿度85%で1週間置いた高温多湿条件の試験では、比較対象を上回る数値を示した。

一方、水にさらす耐水条件では接着強度が低下しており、撤去時に水で剥がせるループグルーの特徴も確認できる。実際の撤去時にはスプレー等で加水して15分程度置くことで、ほとんど糊残りなく表具を剥離できる。

環境面に加え、コスト面での効果も期待できる。博展の試算では、パネルの再利用回数が増えることで、新規製作に伴う木材の調達費および人件費をそれぞれ約15%削減できる見込みだ。

本プロジェクトはデザインスタジオのwe+による海洋資源リサーチをきっかけに、セメダインの接着技術、そして博展の施工現場における知見が加わり、およそ2年半の開発期間を経て実用化に至った。サステナビリティを理念だけで終わらせず、現場で使える資材として形にした点に本プロジェクトの意義がある。

「2030年までに、すべての体験や空間を資源循環型でつくる(博展)」という目標に向け、ループグルーは、仮設空間で多用される木製パネルの循環利用を進める具体策の一つとなる。資材を使い終えた後ではなく、剥がす工程から循環を設計する取り組みといえる。

編集/執筆/取材

展示会・MICEの最新情報を発信する専門メディア「イベスル」の公式編集部です。東京ビッグサイトをはじめとする見本市会場に足を運び、主催者や出展者への直接取材を通じた「一次情報」をお届けしています。ビジネスチャンスを創出する場としてのMICEの魅力を、現場の視点からレポートします。

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