
イベント現場において、近年の人手確保の難しさは深刻な課題である。トラス組みやレイヤー足場など、仮設ステージの設営には多くの人員と長時間の作業、そして複数台の大型車両が必要だ。こうした状況に対応するため、シミズオクトでは少人数かつ短時間で設営・撤去が可能な可動式「モバイルステージ」を導入した。今回、山田氏と粉川氏に話を聞いた。


粉川 龍二郎 氏(左) と 山田 真悟 氏
ステージ施工の負担軽減
モバイルステージ導入の背景には人員不足への対応だけでなく、安全確保の目的もある。従来の屋根付きステージ施工では高所作業を伴うリスクがあったが、モバイルステージは地上で展開した後に油圧で屋根を上昇させるシステムのため、作業員が高所作業をすることなくステージを組み立てることができる。音響・照明機材を取り付けた状態でも昇降可能だ。
同等サイズのステージを組む際には、主にレイヤー(足場部材)を使用していたが、モバイルステージの導入により、時間や作業人数、車両の台数が従来の約3分の1に抑えられるようになった。
また、建築申請業務の手間を削減できるメリットも大きい。従来の屋根付きステージは規模や構造によって建築確認申請の手続きが必要だ。一方で、タイヤが付いており車両として認められるモバイルステージは申請が不要となる場合が多い。実際には地域やイベント内容によって判断が異なる場合もあるものの、行政との煩雑なやり取りが省かれることで主催者側の労力は軽減されるだろう。
設営スピードも強み

某カーレースイベントでの事例がある。コース上を使用できる時間が1時間に限られる中、大型のモバイルステージ(SL260)を使い、音楽アーティストのライブを実施した。
当日は搬入から約20分でステージを建て、音響や照明のセッティングを含めて30分後にはライブをスタートさせた。終了後は速やかに解体し、撤収を完了した。観客が見守る中でトラックが到着してステージが完成していくようすも注目を集めた。タイトなスケジュールに対応できる点は大きな強みといえよう。
「SL75」でさらなる市場拡大ねらう
現在、シミズオクトでは大型の「SL260」と小型の「SL75」の2機種を所有している。バリエーションがあることで、屋外ステージを希望する顧客に対し、従来のステージ施工も含めた複数の選択肢を提示できるようになった。
イベントの予算やスケジュールに制約がある中で、別の解決策を提示できることは顧客からの信頼感につながる。実際にリピート案件のみならず、現場を見かけた別のイベント関係者から新規の問い合わせが来る事例も増えているようだ。

とはいえ、稼働の多くは春から秋の暖かい季節など、特定の時期に集中しやすいという。今後は、野球やサッカー、バスケットボールなどプロスポーツのホームゲームへの参入も視野に入れる。また同時に、小型機種である「SL75」の展開にも注力する方針だ。大型のSL260は牽引時に全長が16mに達するため、特殊車両の通行許可が必要となるが、12m以内に収まるSL75はその申請が不要になるメリットがある。小規模イベントやキャラバン案件など、幅広いイベントへアプローチを強化していく。



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